木香舎

想い

ものづくりの環境は、
ここ数十年で大きく変わりました。

デジタルの進化により、形は簡単に再現でき、短い時間で多くの家具を作ることができる時代です。
そうした流れの中だからこそ、 私たちは一つの素材と向き合う時間の重みを大切にしています。
木材は、名前や評価だけで良し悪しが決まるものではありません。
同じ樹種であっても、育った環境や時間によって、 表情も性質もまったく異なります。
木目の流れ、色合い、密度、手に取ったときの重み。 実際に見て、触れて、確かめることからすべてが始まります。

ものづくりの環境は、ここ数十年で大きく変わりました。

量が取れない木、手に入りにくい木には
理由があります。

それは必ずしも希少だから価値があるという意味ではありません。
数が出ないからこそ、丁寧に育ち、独自の表情を持つものもあります。
そのため、同じ形を数多く作ることはできませんし、同じ仕上がりが並ぶこともありません。
椅子やテーブルは、自ら描いた線をもとに制作しています。
形を押し付けるのではなく、素材の性質を読み取りながら、 強さや使いやすさ、佇まいのバランスを整えていく。 後ろ脚を上から下まで一本で通す構造も、その考えの一つです。
見た目の美しさだけでなく、構造としての理由があり、 なぜ強いのかを説明できる形で作っています。

量が取れない木、手に入りにくい木には理由があります。

伝統工芸は、昔の形を
そのまま繰り返すことではありません。

材料、工程、考え方、その根にある筋を守りながら、今の暮らしに必要な形へと落とし込んでいくことだと考えています。
便利さや流行に任せるのではなく、長く使われ、理由を持って残ってきたものに目を向ける。
「なぜこの形なのか」などと問われたときに、便利だから、流行っているから、では終わらせたくない。
木と向き合い、考え、形にした理由があること。
それが、ものとしての価値につながると信じています。
日本には、まだ知られていない美しい木が多くあります。
その存在と価値を、家具というかたちで伝えていくこと。
使う人の暮らしの中で、時間とともに馴染み、文化として次へ渡っていくものを作ること。
それが、この仕事を続けている理由です。

量が取れない木、手に入りにくい木には理由があります。